2011年9月9日金曜日

再開

2011年8月28日(日)
 気仙沼の町をふらりと歩いてみた。車で移動することが多かったので歩いてみると新鮮だった。
 わかってはいたことだけど津波は容赦なく町全体に襲いかかっている。日曜日だというのに人は歩いていない。
静かな町の中を歩いていると「いちまる」という笹蒲屋さんがオープンしていた。
 「木曜日(3日前)にようやくオープンしました。機械も水に浸かったけど、掃除して動かしたら何とか動いたので、やれって事なんですねー」
 以前に比べたら作っている種類は少なくなったらしいけど、商品がショーケースの中に丁寧に並べられていた。

 「何かやんないと生きていけないし、待っている人がいるからやるしかないです!」
力強い言葉を聞いて『厚焼き笹蒲』を買った。
 誰もいない町を歩きながら笹蒲をほおばると、これを「待ち望んでいる人」は確かにいるだろうなと思った。

2011年9月7日水曜日

お泊まり保育の夜に

2011年8月20日(土)
 近くにある幼稚園のお泊まり保育を手伝いに行った。本来なら山で一泊するはずなのだが、震災の影響もあり園舎に泊まる事になったという。
 昼間はプールにいって、カレーを作って、夜はキャンプファイヤーと、子どもたちはどの時間も楽しく過ごしていた。
 興奮冷めぬ子どもたちがやっと寝静まって、先生達もそろそろ眠りに入ろうかという時「グラグラッ」と揺れがきた。
男の子が1人パッと起き上がって
「震度2だー!」
と言いながらあたりをキョロキョロ見回した。
僕が横に行って「大丈夫よー」と背中をさすって寝かすとそのまま眠ってくれた。

 今でも仙台は余震がある。昼間は気づかない時があるが、寝ている時に「ゆさゆさ」と体を揺らされると不気味でしかたがない。

 あの大きな揺れを経験し、余震がある中で生活している子どもたちの心の不安はどんなものだろうか?
 お泊まり保育の夜に少しだけ見えた気がする。

2011年9月2日金曜日

買い物バスツアー

2011年8月4日(木)
 
 名取市にある仮設住宅に住んでいる人たちへ毎週木曜日に行われている買い物バスツアー。プロジェクトから車を二台出して利用者は毎回14名程度。
 日頃おじいちゃんやおばあちゃんが歩いてはなかなか買い物に行くのが難しいので、毎週この日を楽しみにしてくれている。車は津波で襲われた自分たちの地域をまわったり、その近くの神社で手を合わせたりして、ショッピングモールに向かう。
 「買いたいものがいっぱいある」という人もいれば、
 「外に出るだけで楽しい」という人もいる。
沖縄の教会が貸してくれている車を利用しているので、
車のナンバーは「沖縄」だ。そのため僕はみんなから
『沖縄からきた運転手』と思われている。
 「沖縄も台風が来たら大変だっちゃ」
 「運転手さんのところが被害にあったらボランティアにいっから(いくから)」
 「んだっちゃ!(そうだそうだ)はってでもいっから!」
 「ギャハハハハ!!」 


買い物が終わって仮設住宅に帰るまで、沖縄からはるばるやってきた車の中に笑い声が絶え間なく響いている。